【ドラマ感想】クイーンズ・ギャンピッド

【ドラマ感想】クイーンズ・ギャンピッド

「ブリジャートン家」に続き、感想。

作品概要

2020年に配信されたNetflixオリジナルシリーズ。
原作はアメリカ人作家ウォルター・テヴィス。
天才女性チェスプレイヤーの半生を描いた作品で、タイトルのクイーンズ・ギャンピッドとはチェスの定跡の1つとのこと。定跡というと将棋の矢倉とかと同じってことかな。遊戯王のタイトルで同じのがあったからチェス用語ということだけは知ってた。

あらすじ

交通事故で母親を失い、メスーエン養護施設に入所した9歳のエリザベス(ベス)・ハーモン。退屈な環境の中、用務員のシャイベルが指していたチェスに興味を持ち、彼に教えを請い、次第に圧倒する実力を身に着けていく。
14歳になった頃、里親に引き取られ養護施設を出たベスは雑誌で見かけたチェスの州大会に参加。新人ながら優勝を果たし天才少女として一躍話題になるも、養父が無期限勾留され家族は収入を失う。
養母の案で大会の賞金を糧に生活することにしたベスは各地の大会に親子で挑んでいく。

ベス・ハーマンと薬と酒

本作はチェスをきっかけに明るく希望に満ち溢れたスター街道を歩む物語ではない。ベスの物語はチェスに出会う前から暗く、出会ってからもより暗く堕ちていく。
彼女の問題点は大きく2つ、薬物中毒とアルコール中毒だ。
薬物は養護施設時代、当時は合法だった精神安定剤に起因する。恐らく児童を管理しやすくするために摂取させていたものだと思われるが、服用すると意識がぼんやりとする。ベスは就寝時にこれを用い、天井にチェス盤を想像し研鑽に励んでいた。出所したことで入手出来なくなったように思えたが、養母が同じ薬を常用していたため以降も服用するようになる。
アルコールに関しては養母から勧められて飲み始めたが、次第に周囲から飲み過ぎを指摘されるレベルで飲むようになる。養母自身飲み過ぎが原因と思われる肝炎で死亡しても、二日酔いが原因で国際試合に遅刻し、更に敗北してもやめることはなく、むしろ量が増えていった。
終盤の彼女が見せる表情は狂気じみているように感じられた。
彼女がこの状況を打開し、再起するのはシャイベルの葬式がきっかけとなる。

恩師シャイベルの想い

作中終盤酒に溺れたベスは養護施設時代の友人ジョリーンと再会。彼女からシャイベルが亡くなったことを知り、久しぶりにメスーエン養護施設を訪れる。シャイベルとチェスを指した地下室、その一画に大量ベスの記事がスクラップされてた。
このシーンにはなんとも言えない感情に溢れている。
無口で厳しかったシャイベルが、ずっとベスの活躍を見守っていたという事実。
当時2人で撮った写真を手にベスは再起を決意。
モスクワでの国際試合にて最強のチェスプレイヤーボルゴフに三度目の戦いに挑む。

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