アフガニスタンとタリバン

アフガニスタンとタリバン

2021年8月15日、タリバンによるアフガニスタン制圧のニュースが全世界で話題になった。
アフガニスタンはアル・カイダの件で名前は知っているけど、どんな国なのかはあまり詳しく知らない。
タリバンも名前は知っているけど、どんな組織なのかはよく分かっていない。
なので今一度アフガニスタンってどんな国か、タリバンって一体何なのかを調べてみた。

アフガニスタンとは

アフガニスタン、正式名称アフガニスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of Afghanistan)は西アジアに位置する内陸国。
中央アジアにも分類されることがあるが、丁度境界といった位置。
パキスタン、イラン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンに接し、一部は中国とも接している。
ちなみに隣国含め「〜スタン」という名称が多いが、これはペルシア語で「土地」という意味とのこと。
言語は異なるが、ドイツ(Deutschland)やニュージーランド(New Zealand)も末尾に「土地」を意味するLandをつけているので割とポピュラーなものと言える。

人口はおよそ3890万人、国土は日本の約1.7倍、首都はカブール。
パシュトゥン人、タジク人、ハザラ人、ウズベク人などを含む多民族国家であり、一国家というより部族毎のコミュニティ意識が高いとのこと。(このあたりはアフリカと同様なのだろうか)
公用語はダリ語とバシュトゥー語、主な宗教としてイスラム教スンニ派が信仰されている。
主要輸出品はドライフルーツ(35%)、薬草(15%)、果物(11%)、鉱物(11%)、野菜(8%)等で植物系が比較的多い模様。
内戦の影響等で経済は低迷中。

先述のようにムスリムの多い国であるが、「イスラム飲酒紀行」によると少なくとも2007年にはハイネケンを提供する中国人の店があったらしい。

ちなみに、すかいらーく系列のファミレス「バーミヤン」はアフガニスタンの都市名だったりする。
かつてシルクロード貿易で栄えた地として有名で、バーミヤン渓谷は世界遺産にも登録されている。
日本人に最も近いアフガニスタン由来のものはバーミヤンなのである。

タリバンとは

タリバンまたはターリバーンとはアフガニスタン国内で活動するイスラム運動団体。
タリバンとはバシュトゥー語で「学生」を意味するとのこと。(この場合、イスラム学徒を意味するのだろうか。)

アフガニスタンで活動するスンニ派過激組織。アフガニスタン政府や同国駐留外国軍を主な標的としてテロを実行。

公安調査庁より引用

として国際テロ組織に指定されている。
1994年に結成、アフガニスタン国内や隣国パキスタンで成長し、現在に至る。

厳格なイスラーム主義というイメージは強いが先に挙げたバーミヤンの遺跡群も偶像崇拝禁止により破壊されてる。

タリバンの支配は2回目

一部のニュースに「タリバン復権」とあったが、その通りでタリバンは1996年にも首都を制圧し、政権を奪取している。
当時アフガニスタン・イスラム首長国の樹立を宣言したものの、国際的にはほとんど認知されなかった模様。
いわゆるタリバン政権とはこのアフガニスタン・イスラム首長国を指している。

その後、タリバン政権はアル・カイダの首領ウサマ・ビンラーディンを匿ったため、アメリカの怒りを買い軍事攻撃を受け、撤退。
政権を手放すことになった。

政治の腐敗が進んだ結果、タリバンへの支持が集まり今回の出来事につながった。
また、アメリカ軍の撤退により障壁がなくなったことから再度支配に至った。

タリバンの別の顔

タリバンに関しては以上のようにイスラム原理主義の過激派集団というイメージが強いが、一方で別な情報もある。
襲撃事件で亡くなった中村医師によると、
・タリバンより北部同盟(政権)の方が印象が悪い
・農民や貧困層には違和感がない
・女性の通学も黙認している

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00059/120400219/

今後のアフガニスタン

今年7月、タリバン幹部はロシア・中国とそれぞれ接触・会見を果たしている。
アフガニスタン制圧の前に欧米に対する後盾を得たかったのだろうと思われるが、ロシアは15日時点では承認しないとし、一方中国は16日事実上容認した。

その他承認する可能性があるのは、96年にアフガニスタン・イスラム首長国を承認したアラブ首長国連邦、パキスタン、サウジアラビアあたりと思われるが、

一方、アメリカは軍を6000人派遣すると発表したものの、これはあくまで邦人避難目的であることから積極的な介入は国内世論的にも行わないと思われる。(前回のようにアル・カイダもいないし)
そのため、今後はどのように政権移行が進むかに掛かっていそう
部族闘争に陥れば内戦が続くことになるでしょう。



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